藝術との対話 描線を読む:情報記譜の多様化と混沌

定期講座

原木 万紀子講師

藝術との対話 描線を読む:情報記譜の多様化と混沌 について

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藝術との対話

19世紀半ば、コレラ感染症が多発したイギリスのブロード街
医師のJhon Snowは、感染症による死者の居住区を地図上にマーキング、同じ道路を挟んだ両側で死者数が隔たっていることから、感染の原因はそれぞれの側の住民が用いている井戸水の違いという点に気づきました。空気感染が疑われ、感染経路が掴めず混乱の渦にあった当時の状況下において、感染源が水質汚染によるものだったという発見は、後の疫学の発展にも大きな影響を与えたのです。

ピクトグラムの標識、相対的位置関係を重視した地下鉄の路線図など、情報を描きだすことで、私たちは様々な状況や状態を把握することが可能です。
それらは国や文化によっても異なり、情報を得るために特別な文脈、背景、知識が必要となる場合も生じえます。また、一般的に“情報”と呼ばれるものだけではなく、絵画もまた、宗教的情報を伝えるための一つのツールとして盛んに用いられていた時代があるなど、情報の描写は古くから広くおこなわれてきた行為と考えられるのです。

近年、情報を美しくわかりやすく表記する、infographics、data visualization等と呼ばれる表現方法が注目される中、美しい情報とはなにか、分かりやすい情報とはなにか、グラフィックと絵画との違いは何であるのか等、その境界はあいまいなものとなりつつあります。
本講座では、様々な方法で表記された情報資料を用いて、あいまいとなっている境界線を少しずつ紐解き、情報の中に眠る美しさ、美しさの中に潜む情報を少しずつ紐解いていきます。

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藝術との対話 描線を読む:情報記譜の多様化と混沌 講座情報

講座名
藝術との対話 描線を読む:情報記譜の多様化と混沌定期講座
講師
原木 万紀子講師研究者
日時
2014年10月4日(土)
14:00-16:00
場所
千駄木記憶の蔵
参加費
2000円
定員
定員未定

『藝術との対話』について

美術と科学。一見すると相反する分野のように思われますが、実は密接な関係を持っています。
絵画に描かれた人物や動植物をはじめ、光と影、そして絵具をはじめとする画材に至るまで、そこには解剖学や生物学、化学など、様々な学問のコードが作品に埋め込まれているのです。今回は“身体”に焦点を当て、古代ギリシャから始まり、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなどルネサンス期の作家達による身体への探求を基点に、西洋と東洋の比較を交え現在に至るまでの美術における身体観の変容を、解剖学的な見解を交えてたどっていきます。
美術やその他科学的な前提知識は不要です。自身のもつ“身体”を通して作品の持つ魅力に迫ります。