5回目となるトークライブ「ココロの野遊び」では、ミュージシャンの七尾旅人さんをゲストに招きます。

七尾さんは2007年に「911FANTASIA」という大作を発表しました。2001年9月11日に起きた同時多発テロに衝撃を受けたことをきっかけに取り組んだ本作は、人類史を概括するような壮大なスケールを持った作品です。

あれから9年後に発表された「兵士A」がまたしても話題となっています。「兵士A」とは、この国に住む人たちがやがて耳にするかもしれない「一人目の戦死者」となる「自衛隊員Aくん」のことです。作品中、七尾さんは彼が生まれてから死ぬまで、そしてAくんが殺めた人々のことについて、3時間にわたって歌っています。

戦死者を歌ったからといって「もう既に確定してしまった未来なのだ」と諦観へ誘うわけでもありません。また「戦争反対」と叫ぶわけではないものの、明確に戦争に賛同しないメッセージを、私は感じました。
ひとりの人間が死ぬ。その重みをただ歌っているのだと思います。紛れもない歌でしか表現しようのないことを確かに歌う。さまざまな考えやつぶやきや思惑が飛び交う今の時代において、そのことが最も力強く困難なことかもしれません。

どんな時代になろうとも流れに完全に飲み込まれず、与せず、精一杯生きていくしかない。目の前に広がっているのがたとえ焼け野原だとしても、生きている限り絶望を退けて歩み続けるしかないのではないか。安易に希望を語れない時代であることは間違いないのでしょうが、それでも光明を見出すような時間にしたいと思っています。
こちらの特設サイトには七尾さんの思いが込められています。参加される方は是非読んでみてください。