ちょっとやばいデータサイエンス 第3回

新講座

林 祐輔講師

ちょっとやばいデータサイエンス 第3回 について

この講座は終了しました。

ちょっとやばいデータサイエンス

第3回

芥川龍之介の作品に『藪の中』という短編があります。

読者は、殺人と強姦という事件をめぐって4人の目撃者と3人の当事者が告白する証言を聞きますが、それぞれが矛盾し錯綜しているために事件の真相は最後まで明かになりません。

我々の日常の中でも、同じ出来事を体験したにも関わらず、その当事者によって出来事の解釈が異なる場合があります*。この場合、その出来事に対して、充分なデータが用意されていれば、我々は「介入」と呼ばれる観測値を別の値に置き換える操作とグラフィカルモデルを使うことで、出来事の原因と結果を推測することができます(実際にデータを観測できるか/できないか、これが小説と現実の違いですね)。

今回の講座では、この統計学の分野で統計的因果推論と呼ばれている理論を紹介したいと思います。当日は、スライドを使ってお話をするので、特に何の用意も必要ありません。肩の力を抜いてお越し下さい。では、宜しくお願いします。

* 例えば、朝永振一郎の『光子の裁判』を読めば、『藪の中』の構成が量子力学における
シュレーディンガーの猫のパラドックスに通じていることがわかると思います。

***前回の講座内容*****

第2回 「マクロ統計データ VS フィジカルデータ」

前回の講座では、個人が抱く「関心」をネットユーザー全体で積み上げていくと、そこに季節性が現れることや、社会的な事件に影響を受けて変動することを Google Trends の検索データを使ったエクササイズを通して確認してもらいました。
今回の講座では、こうしたマクロ統計データと対照的な関係にあるミクロ統計データを取り上げます。本来、マクロ統計データとは、上のGoogle Trends の検索データのように、個々人の意思決定が無数に積み上がって生み出されるものであるにも関わらず、これまで個々人の意思決定の現場を記録する道具がなかったために、その内部の構造はブラックボックスとされてきました。

一方、最近の技術発展に伴い、人間の脳波(EEG)や眼球運動、身体動作を大学や専門の研究機関に所属しなくとも簡単に測定することができるようになってきました。実際に、最近のデータサイエンスの潮流としても、こうしたフィジカルデータ(=ミクロ統計データ)を分析することで、マクロ統計データの動きを予測したり、マーケティングに活用しようとする試みが始まっています。

そこで今回の講座では参加者の方に実際に脳波(EEG)を測定するヘッドセット等を装着していただき、その場で得られたフィジカルデータの統計的性質を分析してみたいと思います。
ー さらに余裕があればマクロ統計データとの関係についても議論したいと思います。

当日、皆様とお会いできることを楽しみにしております。

予約受付終了

ちょっとやばいデータサイエンス 第3回 講座情報

講座名
ちょっとやばいデータサイエンス 第3回新講座
講師
林 祐輔講師研究者
日時
2013年12月1日(日)
15:30-17:00
場所
都内古民家(鴬谷/入谷)
(お申し込みいただいた方に詳細お送りいたします)
参加費
¥2500
定員
定員未定
備考
●14:30-15:30
【ヴァイオリニストと実験タイム(投げ銭制)】もあります!
NOTH「音語り」講座の本郷講師が、脳波(EEG)を測定するヘッドセット等を装着し、演奏してみます。その場で得られたフィジカルデータの統計的性質を分析してみます。演奏のときに、脳波はどのような反応をしているのでしょうか。


●実際にエクセルを利用しながら受講することも出来ます。
ご希望の方はエクセルがインストールされているPCをお持ち下さい。
※PCは必須ではありません。

『ちょっとやばいデータサイエンス』について

昨今、データサイエンスという言葉が人口に膾炙するようになりました。皆さんは、データサイエンスという言葉にどのようなイメージを持っているでしょうか?

データサイエンスとは、統計学を使ってWeb上に溢れるようになったオープンデータを解析し、そこから有為な情報を読み取っていく一連のツールのことを指します。

この講座では、統計学という、政治だろうが教育だろうが経営だろうがスポーツだろうが、一律に分析することができる強力な武器を手にすることで、一見合理的にみえる人間の行動に隠された非合理的な側面、世界の裏側を探っていきます。

この講座の参加者には、ただレクチャーを聴くだけでなく、講師と一緒にデータをいじることで統計学の奥深さ、データの集まりから構造を見いだす楽しさを体験してもらいたいと思います。

*)ノートPCをお持ちの方は、ぜひノートPCを持参の上、講座にご参加下さい。講師と一緒に、ヤバいデータサイエンスの世界を探検しましょう。