物理十話 第一話「数学と身体」

新講座

江本 伸悟講師

物理十話 第一話「数学と身体」 について

この講座は終了しました。

物理十話

第一話では「数学と身体」についてお話しします。

物理学という営みが「数学」を通じてこの世界に触れていく営みであることは、みなさんご存知だと思います。
そうして物理学者というと、机の前にすわって一日中「計算」をしているイメージが湧くかたも、多いのではないでしょうか。
そのとき、数学や計算という言葉にともなったある種の冷やかさもあいまって、物理学に「頭による理解」はあるけれども、「身体による実感」はないのではないかとお思いになられるかたも多いと思います。しかしこれは、大きな誤解であるといえます。

私たち人類と悠久の時間をともにして構築されてきた数学のなかには、知らず知らずのうちに私たちの「身体性」がうつり込んでいます。ひとつの計算をするとき、思わず浮かび上がってくる身体的なイメージがそこには存在していて、物理学者が、望遠鏡でも望くことができないほど大きな宇宙の世界や、顕微鏡でも顕わすことができないほど小さな素粒子の世界など、私たちの身体スケールからは遠くへだたっていて、決して触れることのできない世界のことを、それでもまるで、それをこの眼でみてきたかのように語ることができる背景には、こうした数学と計算のなかへと織り込まれた身体感覚があります。

今回は、計算というのが単なる頭のなかの「思索」ではなく、身体感覚をともなう「行為」なのだということを体感していただければと思っています。-1に-1を掛けると1になるのはどうしてかという初歩的なところからお話しますので、数学が苦手なかたもご安心していらしてください。

予約受付終了

物理十話 第一話「数学と身体」 講座情報

講座名
物理十話 第一話「数学と身体」新講座
講師
江本 伸悟講師物理学者
日時
2014年8月1日(金)
18:30-20:30
場所
記憶の蔵
文京区千駄木5-17-3
JR西日暮里駅徒歩13分
千代田線千駄木駅徒歩8分
参加費
3500
定員
30名

『物理十話』について

物理学とは何でしょう。
それは、この世界の真理に触れんとする学問のようでもあり、この世界の美しさを描きださんとする芸術のようでもあります。またそれは、頭をつかって物事を考えていく思索のようでもあり、身体をつかって物事に触れていく行為のようでもあります。

いずれにせよ物理学においていちばん大切なことは、その眼差しのさきにこそあります。
私たちが棲まうこの世界、その豊かな表情に覚醒していくこと、そのための学問であり、芸術であり、思索であり、行為です。

本講座では、物理をめぐる十話を通じて「物理とは」を問い掛けることで、
みなさまと眼差しを重ね、「物理学の風景」を共有していきたいと思っています。
一話一話は独立したテーマを扱っており、それぞれが単独で楽しめるようになっております。