音語り チェロの誕生 ~17世紀イタリア、ボローニャからナポリへ

定期講座

本郷 幸子講師

音語り チェロの誕生 ~17世紀イタリア、ボローニャからナポリへ について

この講座は終了しました。

音語り

映画「おくりびと」で主人公が弾いていた楽器と言えば。映画のみならずドラマ、小説にと例を挙げれば枚挙にいとまがない、ヴァイオリンと並んで、ポピュラーな弦楽器「チェロ」。
私が東北の田舎町の高校生だった時分は、まだそれほど認知度が高くなかったせいか、町で指をさされ、「あれ、ドラムだっけ」と言われたこともありましたが、最近ではもうそのようなこともないでしょう。
現代では一般的な認知度を高めてきた「チェロ」ではありますが、その楽器の起源はそれほど古くはなく、初めて「チェロ」(正式にはヴィオロンチェッロ)という言葉が使われたのは、350年前の1665年、バロック期のイタリア・ボローニャでした。それまで合奏を下から支える立場であった低音弦楽器はいくつかの種類がありましたが、そのうちのひとつであった「チェロ」は誕生後、瞬く間に独奏楽器としての地位を確立していきます。
そのようなチェロの誕生の歴史、どのような時代に、どのような場所で、どのような理由で楽器が成立してきたかが語られることは現在ではほとんどありません。
近年再評価が始まってきたチェロの初期レパートリー(17~18世紀イタリアの作曲家コロンビ、ヴィターリ、ガブリエッリ、スプリアーニなど)を、当時のスタイルの楽器(バロック・チェロ)、当時の筆写譜資料によって時代の順を追って演奏しながら、現在まで音楽学研究が明らかにしてきた「チェロ」についての初期成立史(~1750年)についてのレクチャーをします。
目的は17世紀から18世紀にかけてのイタリア、『チェロの誕生』の追体験です。
まさに歴史が動いた、貴重な音楽史の一場面に、ともに立ち会うことができれば幸いです。

トピック
・チェロの前身は大型の低音弦楽器”ヴィオローネ”?
・なぜボローニャでチェロは誕生したのか?
・弦の製作方法の変化が「革命」を起こした
・最初の名人チェリスト ”ドメニコ・ガブリエッリ”とは
・ボローニャで学んだコレッリが後年作曲したヴァイオリン・ソナタ
・ナポリが生んだ伝説的名人”フランチスチェッロ”と”スプリアーニ”

演奏でとりあげる作曲家(予定)
ジュゼッペ・コロンビ Giuseppe Colombi (1635-1694)
ジョバンニ・バッティスタ・ヴィターリ Giovanni Battista Vitali (1632-1692)
ジョバンニ・バッティスタ・デッリ・アントーニ Giovanni Battista Degli Antonii(1660-1696)
ドメニコ・ガブリエッリ Domenico Gabrielli (1659-1690)
アルカンジェロ・コレッリ Arcangelo Corelli (1653-1713)
フランチェスコ・スプリアーニ Francesco Supriani (1678-1753)
ジューリオ・ルーヴォ Giulio Ruvo (17c-18c )
エヴァリスト・フェリーチェ・ダッラーバコ Giuseppe Clemente Dall'Àbaco (1709-1805)
ヨハン・セバスチャン・バッハ Johann Sebastian Bach(1685-1750)

予約受付終了

音語り チェロの誕生 ~17世紀イタリア、ボローニャからナポリへ 講座情報

講座名
音語り チェロの誕生 ~17世紀イタリア、ボローニャからナポリへ定期講座
講師
本郷 幸子講師ヴァイオリニスト
日時
2015年7月23日(木)
19:00-20:30
場所
Studio Trianon
〒113-0034 文京区湯島2-14-3
(最寄駅:JR御茶ノ水、湯島駅、末広町駅、本郷三丁目)
参加費
3500
定員
11名
講師プロフィール
懸田 貴嗣(チェロ・語り)

東京芸術大学大学院修了後、ミラノ市立音楽院に学ぶ。チェロをガエタノ・ナジッロ、鈴木秀美の各氏に師事。伊ボンポルティ国際古楽コンクールで第1位受賞。ラ・ヴェネシアーナ、リクレアツィオン・ダルカディアのメンバーとして、国内・欧州各地の主要な音楽祭での演奏や録音活動を行っている。エンリコ・オノフリ、ロベルタ・マメリ等著名な演奏家との共演も数多い。CD「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」が文化庁芸術祭優秀賞を受賞。

本郷幸子(ヴァイオリン)

東京藝術大学、ドイツ国立トロッシンゲン音楽大学を卒業。ドイツヘッセン州立ヴィースバーデン歌劇場オーケストラにて、3年半研鑽を積む。これまでに札幌 Pacific Music Festital(PMF)、ドイツ シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭、フランスナント市 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などに参加。現在は、上野学園大学ヴァイオリン科非常勤講師として後進の指導をしながら、指揮者の山田和樹率いる横浜シンフォニエッタなどのアンサンブルを始め、幅広く演奏活動をしている。4スタンス身体理論を廣戸聡一氏に師事。NOTH.JPでは、講座「音語り」を開催し、好評を博している。

『音語り』について

音楽は予備知識がなくても楽しめてしまうのが魅力でもありますが、この講座では、文字通り「音と語り」で、その世界をより深めていきます。間近で聞く生の音色はひとあじ違います!どうぞお楽しみください。

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音楽は音の織物。

その完成品を味わうだけでなく、その糸がどう紡がれたのかを紐解いて、共に学び、発見し、深める場をつくれたらという思いで、音語りを始めました。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに」という井上ひさしさんの言葉を胸に。音楽の世界の新しい扉が開かれ、より親しみを持っていただけたら幸いです。

※この講座は、演奏だけではなく、毎回違うテーマに沿って様々なお話を入れながら進みますので、通常の演奏会とは異なります。その点をご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。